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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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花を召しませ-34
2006年09月19日 (火)
「そう言えば、美雪さんはお酒あんまり強くないんだよね」
 三十分もここに座っているのに、半分にもならないグラスの中身に彼の視線が向けられているのを意識しながら、グラスに指を沿わせた。流れ落ちる水滴に濡れて、紙製のコースターがふやけてしまっている。
「嫌いじゃないんだけどね。これ、なんて名前だった?」
「ファジーネーブル。気に入ってもらえた?」
「うん。甘くて美味しい」
 笑みを含んだ彼の言葉に頷きながら、グラスに軽く口をつけた。
 入場したときにもらえるドリンクチケットは、アルコールでもソフトドリンクでも同じだから、ついカクテルを頼んでしまうのだけれど、なかなか減らない。それでも飲み終わるまではカウンタに座っていられるから、シズくんのそばにいられるから、どちらかと言うとそれも都合がよかったのだけれど、今になってしまうと逆に目立ってしまうのかもと心配になる。
 クラブでフロアにいる時間よりバーカウンタにいる時間のほうが長いなんて、やっぱり少し変わっている。何かあるんじゃないのか。もしも周囲の誰かがそんなふうに見ていればどうしようなどと考えてしまう。
 別に誰に知れたところで問題などないのかもしれないけれど、それでも。
「でも、もうそれ、水っぽくなっちゃってない? 新しいの作ろうか?」
「え、ううん。ちょうどいいよ」
 言いながら、もう一口含んでみた。
 確かに、一番最初に飲んだときよりも少し薄まっているような気はするけれど、もともと飲み慣れていないのだからさほどの問題はない。けれど、彼はそうは思わなかったらしい。軽い笑みと一緒に手が伸びてきて、飲みかけのグラスを奪い取ってしまう。
「あ、いいよ。このままで充分なのにー、って、聞いてよ!」
「うん、聞いてる。聞いてるけどね」
 訴えた言葉も淡いオレンジ色のカクテルも、簡単に流されてしまった。彼のこういうところは、二人っきりのときによく出てくる。優しいくせに、奇妙に残酷で大胆。

  -つづく-
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