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2006年06月21日 (水)
「わかった。千紗ちゃんの言う通りにするよ。その代わり、俺の言うことも聞いてくれるよね」
渋々頷いたあと、彼はそんなことを言い出した。明るい笑顔がなんだか逆にドキッとする。そしてあたしに出した要求は。
「俺を和真って呼ぶこと」
嬉しそうな顔でなんだってそんなことを言うかな。
「だって俺だけって酷いだろ?」
そんなところで対抗しなくてもって思うんだけど。それに今までの慣れとかあるから、つい言っちゃいそうだし。でもそう訴えると『結城さんって呼んだら、どこであろうともその場でキスするからね』ってにっこり笑って脅された。あの人だとホントにやりかねないから怖い。なんかもう、わがまま放題の子どもってカンジ。
呟きながら、財布にしまっていた名刺を取り出した。
ユーキさんにもらった名刺は、葵さんのと違ってビジネス用のものだった。彼はプライベート用のを渡したがってたみたいだったんだけど、でもプライベート名刺って名前と電話番号とメールアドレスしか載ってなくてつまらないから、こっちをもらった。ズラズラと怖いくらいに並んだ肩書きは半分もわからないけど、でもそれだけユーキさんが会社で頑張ってるって証拠なんだと思う。司さんも、ユーキさんは頭いいって言ってたし。みんなそう思ってるのかなって思うと、嬉しい。ユーキさんが認められてるってことがすごく嬉しい。
「でも、執行役員って、何するんだろう?」
首を捻りながらテレビの電源を入れた。見覚えのない番組と画面の隅に浮かんだデジタルな文字に眼を見張る。もうすぐ、一時?
「うわー、もうそんな時間?」
日付け、変わっちゃってる。
慌てて制服を脱ぎ捨てて替えのショーツとパジャマとバスタオルを手にして、あたしはお風呂場へ駆け込んだ。本当は湯船でゆっくり浸かりたかったんだけど、もうシャワーでいいや。簡単に流すだけで。
しゅわっと肌を強く叩く熱いお湯に、あたしはそっと眼を閉じる。
大変だったけど忙しかったけど疲れたけど、でもユーキさん……ええと、和真さんと逢えたから、だからすごく幸せな一日だった。
-つづく-
渋々頷いたあと、彼はそんなことを言い出した。明るい笑顔がなんだか逆にドキッとする。そしてあたしに出した要求は。
「俺を和真って呼ぶこと」
嬉しそうな顔でなんだってそんなことを言うかな。
「だって俺だけって酷いだろ?」
そんなところで対抗しなくてもって思うんだけど。それに今までの慣れとかあるから、つい言っちゃいそうだし。でもそう訴えると『結城さんって呼んだら、どこであろうともその場でキスするからね』ってにっこり笑って脅された。あの人だとホントにやりかねないから怖い。なんかもう、わがまま放題の子どもってカンジ。
呟きながら、財布にしまっていた名刺を取り出した。
ユーキさんにもらった名刺は、葵さんのと違ってビジネス用のものだった。彼はプライベート用のを渡したがってたみたいだったんだけど、でもプライベート名刺って名前と電話番号とメールアドレスしか載ってなくてつまらないから、こっちをもらった。ズラズラと怖いくらいに並んだ肩書きは半分もわからないけど、でもそれだけユーキさんが会社で頑張ってるって証拠なんだと思う。司さんも、ユーキさんは頭いいって言ってたし。みんなそう思ってるのかなって思うと、嬉しい。ユーキさんが認められてるってことがすごく嬉しい。
「でも、執行役員って、何するんだろう?」
首を捻りながらテレビの電源を入れた。見覚えのない番組と画面の隅に浮かんだデジタルな文字に眼を見張る。もうすぐ、一時?
「うわー、もうそんな時間?」
日付け、変わっちゃってる。
慌てて制服を脱ぎ捨てて替えのショーツとパジャマとバスタオルを手にして、あたしはお風呂場へ駆け込んだ。本当は湯船でゆっくり浸かりたかったんだけど、もうシャワーでいいや。簡単に流すだけで。
しゅわっと肌を強く叩く熱いお湯に、あたしはそっと眼を閉じる。
大変だったけど忙しかったけど疲れたけど、でもユーキさん……ええと、和真さんと逢えたから、だからすごく幸せな一日だった。
-つづく-
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