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2006年06月08日 (木)
「ちょうど近くまで来てたから、電話をしたら、通じない。もう寝てるんだと思って窓を外から見てたら、見覚えのある車が近づいてきてね」
うっすらと灯りに照らし出されたその頬は笑みの形に歪んでいた。笑ってるけど笑ってない。本能的に恐怖を感じるような、冷酷なその笑顔は。
「停まってもなかなか人は降りてこない。ようやく出てきたと思ったら、千紗ちゃんだった、ってわけだ」
言葉を切るのと同時に、手首をつかんだ力がぎゅっと強くなった。あたしは何も言えないまま立ちすくんだまま、ただ彼を見上げる。
「あいつと、一緒だったんだろ」
言葉は疑問系だけど、語尾は上がってない。その代わりのように、唇の端がゆっくりと上がった。明るく笑ってるみたいに見える、けど。
「ち、違うの。全然……そう言うことじゃなくって……」
なんて説明したらいいんだろう。
司さんは、ユーキさんとは亀裂が深くてちゃんと話すこともできないって言ってた。そんな状況って、つまり、会ってたってだけでマズい?
「ええと、その……」
葵さんに呼び出されたって正直に言ってもいいのかな。葵さんとユーキさんってどうなんだろう。やっぱり仲悪いのかな。その辺もちゃんと訊いておけばよかった。
「あ、あの、あたし……」
どう言ったらいいのかわからない。
ユーキさんはそんなあたしを見て、左眼を細めるように微笑った。背筋にぞくりとくる冷たい笑顔に思わず逃げようとしたけれどムダだった。強い腕に引き寄せられて、力ずくのように抱きしめられる。
あたしは、ユーキさんの腕にすっぽりと包まれるのが好きだった。その胸に頬をすりよせるのが大好きだった。抱きしめて欲しいと毎日思っていた。ずっと思っていた。
だけど。
「あいつと寝たのか?」
低く囁く声が、頭を殴ったような気がした。
-つづく-
うっすらと灯りに照らし出されたその頬は笑みの形に歪んでいた。笑ってるけど笑ってない。本能的に恐怖を感じるような、冷酷なその笑顔は。
「停まってもなかなか人は降りてこない。ようやく出てきたと思ったら、千紗ちゃんだった、ってわけだ」
言葉を切るのと同時に、手首をつかんだ力がぎゅっと強くなった。あたしは何も言えないまま立ちすくんだまま、ただ彼を見上げる。
「あいつと、一緒だったんだろ」
言葉は疑問系だけど、語尾は上がってない。その代わりのように、唇の端がゆっくりと上がった。明るく笑ってるみたいに見える、けど。
「ち、違うの。全然……そう言うことじゃなくって……」
なんて説明したらいいんだろう。
司さんは、ユーキさんとは亀裂が深くてちゃんと話すこともできないって言ってた。そんな状況って、つまり、会ってたってだけでマズい?
「ええと、その……」
葵さんに呼び出されたって正直に言ってもいいのかな。葵さんとユーキさんってどうなんだろう。やっぱり仲悪いのかな。その辺もちゃんと訊いておけばよかった。
「あ、あの、あたし……」
どう言ったらいいのかわからない。
ユーキさんはそんなあたしを見て、左眼を細めるように微笑った。背筋にぞくりとくる冷たい笑顔に思わず逃げようとしたけれどムダだった。強い腕に引き寄せられて、力ずくのように抱きしめられる。
あたしは、ユーキさんの腕にすっぽりと包まれるのが好きだった。その胸に頬をすりよせるのが大好きだった。抱きしめて欲しいと毎日思っていた。ずっと思っていた。
だけど。
「あいつと寝たのか?」
低く囁く声が、頭を殴ったような気がした。
-つづく-
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