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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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あたしの彼はご主人さま(2) -24
2006年03月07日 (火)
 立ち読みする勇気もなくて、でも見なかったことにすることもできなくて、だからあたしはその雑誌を素早く手に取った。
 もらったばかりのアルバイト代の入った封筒から千円札を一枚抜き出して、小走りにレジへ向かう。返された小銭をお財布に戻す手間さえ惜しくて、震える手のひらに深く握りしめた。走るような早足で本屋さんを飛び出して、壁の隙間に隠れるように立ったまま紙袋を破って中身を出して、急いでページをめくる。

 結城財閥、後継者選び最終局面!
 揺れる結城グループ!
 対立深める、王道経営者長男VS改革的手法者次男。
 来月の創立百二十周年がXデーか?

 ワイドショーみたいな、センセーショナルな嘘みたいな文字が並んでいた。
「なに、これ……」
 記事は、お母さんの違うお兄さんとユーキさんが修復不可能なほどに揉めてて、今やそれは両方についた勢力の争いに発展してしまって、グループ全体を巻き込んでの騒ぎになっているのだと書いてあった。まるで会社内で戦争でも起こりそうな雰囲気だと、どちらかが消えるしか事態は収まらないだろうと、興奮したような調子で書いていた。
 どちらかが消える?
 ユーキさんが、いなくなっちゃう?
 ケータイを取り出して電話をかけようとして、番号はあの日に消してしまったことを思い出す。一瞬迷って、でも、あたしは駅に向かって駆け出した。定期を通すのももどかしい勢いで改札を走り抜けて、発車間近の電車に乗り込む。ドキドキする心臓を押さえてなんでもない振りをしながら、ドアの上に貼られた路線図を眺めた。ユーキさんのマンションの最寄駅まで五駅。十三分と少し。
 あとから思えば、もうちょっと落ち着いて考えてから行動すればよかったのだと思うけれど、でもこのとき、あたしは何にも考えてなかった。ユーキさんのことしか考えてなかった。
 それ以外のことなんて、どうでもよかった。


  -つづく-
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