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R18 らぶえっち小説Blog
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あたしの彼はご主人さま(2) -14
2006年02月24日 (金)
 結城財閥跡取り有力候補がまた一人現れた。
 有能だが愛人の息子ということで後継者枠から外れていた次男の和真氏だが、美倉家の令嬢と婚約したことから、形勢は大きく変わった。
 結城財閥と元華族美倉の閨閥が成立し、両家の経済、血縁、縁故、その他諸々で協力関係が成されれば、結城はより大きな発展が望める。そう考えた者たちが和真氏の下に集い始めたのだ。その勢力は日々増大し、今や総帥ですら無視できないものとなっている。
 その推測を裏付けるかのように、現在和真氏は大学を休学し、総帥である祖父源次郎氏の秘書としてその日々を送っている。鬼子とさえ呼ばれていた日陰者が一躍時の人となる日も近いのかもしれない――

 記事の日付けは三年前の六月、つまり二年半ほど前のものだった。二年間休学して家の仕事を手伝っていたと言ってた、ユーキさんの言葉とも一致する。
「結城って名前と、大学を休学したってとこを覚えてたの。だから」
 二年半前。あたしはまだ中学生だった。
「彼がどんなつもりでちーちゃんと付き合ってるのかはわからないけど、でも、ね」
 婚約。結婚の約束。
「ね、ちーちゃん。わかるでしょ」
 ユーキさんは誰かと結婚するんだ。あたしと会う前に、もうずっと前に、そう決まってたんだ。
「悪いことは言わないわ。彼と、お別れしなさい」
 優しい優しい、ママの声。
 元華族のお嬢さまって、どんな人なんだろう。きれいな人かな。きっとそうなんだろうな。あたしと違って、育ちがよくって上品でお洒落でおとなっぽくて、ユーキさんとも同等に付き合えるような素敵な女の人で、それで……。
「ちーちゃん……」
 抱きしめてくれるママの腕。
 遠くに霞むように、ママの声が揺れる。視界がぼやける。冷たい水が頬を伝う。
 ああ、そうか。
 あたし、泣いてるんだ。


  -つづく-
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