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あなたは知らない-7
2011年09月27日 (火)
「課長は、朝の会議に出席、昼前から市場調査に回って、夕方に帰社……、と」
 元営業職と言う経歴のせいか、課長の仕事スタイルは、椅子に座ったままパソコン画面を睨みつけて一日を終えていた前課長とは、まったく違った。誰よりも積極的に外へ出て最前線の情報を得ようとする。そのため、帰社が遅くなれば事務仕事が滞ることもあったが、不思議と不服の声は出なかった。
「次。係長は一日外回りで直帰予定。主任は午前は企画部と打ち合わせで、午後は内勤予定、と」
 ミーティングを終えた外回りスタッフが書いた壁のホワイトボードを確認し、それぞれクセのある字で書かれた今日の予定スケジュールを日誌に写す。
 こういうものは本来は自分で書くべきだと思うけれど、これがわたしの朝一番の仕事だった。外を回っているとうっかり書くのを忘れてしまうからと、気を利かせた心優しい事務職の先輩が始めて、そのまま慣習として残ってしまったと聞いたことがある。
 昼前から市場調査、ねぇ……。
 課長は、おそらく会議は十一時過ぎには終わるつもりで、社外でランチを取ると行って出かけるふりをし、資料室でわたしと落ち合うつもりなのだろう。内勤――事務職OL三人と係長代理の四人は十一時半から三時のあいだに交代で一時間の昼休みを取るから、今日は一番に行かせてもらえば問題なく向かえる。今日は歯医者の予約があるからとでも言えば、こちらが決まり悪くなるほどの温かい笑顔でみんなが送り出してくれることはわかっていた。弁当持参組は仕事をしながら自席で食べることもよくあるから、帰りが遅れたからと叱責を受けることもない。周囲が出たり入ったりしているからか、事務職でも急ぎの仕事が入れば外回りの仕事を手伝わされることもあるからか、全員が机上で仕事をする課に比べると格段に雰囲気はゆるかった。
「ほんとに知能犯よね」
 隣のデスクに聞こえないよう小声でつぶやきながらちらりと目を上げた。首をぐるりと回すふりで視線を向けて、提出されたレポートを読む端正な横顔に見とれる。まじめな顔で書類に目を落とす凛々しさにどきりとする。今朝の電車でのことを思い出すと、それだけでもう十一時半が待ちきれないくらいスカートの奥がむずむずするけど、でも。
 ――あの指はいったい……。
 考えるたびに背中を冷たい汗が流れるような気がする。
 あの犯人がわたしたちの悪戯に興奮して乱入してきた通りすがりの痴漢だったとしたら、もちろん決してよくはないけれど、それでも状況としてはまだマシだろう。あれがもしもわたしたちの顔を知っている人だったら、もし会社関係の人間だったとしたらと考えると寒気がする。

 -つづく-
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