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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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この指を伸ばす先-115
2010年12月10日 (金)
「さむ……」
 すぐそばで聞こえた声に、高瀬はぬるま湯のようなまどろみから覚めた。いったい何がと思うより早く、背に軽い衝撃が当たる。肩越しに振り返ると、女がひとり高瀬の背に張り付いて居心地よさげに丸まっていた。
「ん? ああ……今西くん……」
 誰だったかとわずかに眉をひそめてから、高瀬は子どものような寝顔の元部下の名前を思い出した。いつの間にか眠ってしまっていたと小さく嘆息し、そして慌てて腕を毛布から引き上げる。
「今……何時だ?」
 六時十七分を示す腕時計に高瀬は思わず舌打ちした。約束の五時を大幅に過ぎている。連絡だけでもしておかなければと、身体にまとわりつく毛布を剥いだ。ソファのテーブルに置いたままの携帯電話を取ろうと起き上がりかけて、そして深く息をついた。
「もうダメだな……」
 ゆっくりとシーツに倒れ込み枕に頭を乗せると、高瀬は肩まで毛布をかぶった。むーむーと口の中で何かをつぶやきながらにじり寄ってくるやわらかい身体を抱き寄せ、頬に落ちた髪を指先で払う。
 ――最後の取引を不意にしてしまった。
 いたちの最後っ屁と言えばあまりにも品がないが、もうこれ以上のものは今後は出てこないと言い切ってもいいような条件の案件だった。もちろん自分ひとりで取引が成立させられるわけはなく、課長が同席することになってはいたが、あの男ではロクな説明もできないことはわかっている。地位の入った名刺だけにしか存在価値のないような男だと、先方もとっくに承知している。そんな男を鼻の利く連中が信用するはずもない。取引は流れたと見て間違いはないだろう。負の情報はあっという間に流れる。限りなく黒に近いグレーを食んで肥え太るマネーゲーマーは敏感に反応する。今後の取引は難しくなるに違いない。七時からのアポイントメントも断りの連絡が課長に入ってきている頃合いだろう。
 携帯の留守電にはあの男からの苦情と厭味と哀願と恫喝の混じった伝言が残されているに違いない。慌てふためき周囲に八つ当たりをする課長の憔悴した表情を思い浮かべ、高瀬は冷笑した。
 ――利用しようとした女にハマってしくじるとは、思ってもみなかった。
 しかも、こんな子どもみたいな顔をした女に。
 夢でも見ているのか、眉をしかめ唇を尖らせて小さくうなる理香を見下ろし、高瀬は自嘲気味に笑った。

 -つづく-
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コメント
この記事へのコメント
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2010/12/10(Fri) 23:59 |   |  #[ 編集]
 
ありがとうございますっ!
「この指」はあまりにも久しぶりだったので、しばらく読み返して
どんなお話だったのか思い出していましたっ☆
「この指」も実はラストまでもうちょっと、というところなのですが
三人称って進みが悪くって…ごめんなさいね


年末っていろいろと大変ですよねー。
にゃおはとりあえず年賀状の用意は終わったのですが、
クリスマスの対応がまだなのですっ
明日は仕事場の飲み会なので、楽しんできますっ♪
2010/12/14(Tue) 19:31 | URL  | にゃお #-[ 編集]
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