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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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マスカレイド2-121
2010年11月12日 (金)
「春奈。おまえさぁ、家に帰るのが嫌なんだろ?」
「え、あ、いや……」
 ウチのことが先生にバレてるのは知ってたけど、今までこんなに直球で突っ込まれたことがないからどう答えていいかわかんない。お酒飲んでるせいなのかな、二人でホテルって状況のせいかな。そりゃ先生はどっちかと言うと、はっきり物を言うタイプだけど。
「まぁその、イヤっていうかー」
 言いにくそうに口ごもるふりでそっとうつむいて、あたしは先生の視線から逃げた。
 ウソをつく気もごまかす気もないけど、でも好き嫌いだけじゃ割り切れないことがある。白黒のつけられない、口じゃ説明できない感情がある。
「確かにね、家に帰りたくないこともあるよ。でもそれは――」
 あたしはママを恨んでるわけでもパパを嫌ってるわけでもない。ただ、広いリビングで夜遅く一人でぽつんと座ってると、ママもパパもここには帰ってこない、あの頃はもう二度と戻ってこないって事実を目の前に突きつけられるみたいで、でもあたしはそれを認めたくなくって、だから。
「んでな、俺も考えたワケよ。おまえは家に帰りたくない。俺はおまえに街をうろついて欲しくない。で、いろいろと考えた結論が、コレだ」
 あたしの言葉をさえぎるように一気に言い切ると、先生はチャラリと鳴る手の中のカギを指差した。釣られてそこに目を落とした。そうそう、話の展開から一瞬うっかり忘れかけてた。
「このカギって、どこの?」
「俺ン家のカギ。正確には、俺が今住んでるアパートのカギだ」
 言いながら先生は、テーブルの隅っこの、今にも落ちそうな位置で頑張っていたタバコに手を伸ばした。一本を取り出して唇に咥える。かちっと音がして火が点く。タバコの先から細い煙が上がる。溜息みたいな、大きな大きな白い煙の固まりが先生の口から吐き出される。しばらくのあいだ、あたしはそれをぼーっと見ていた。
「えっ? ご、ごめん。えっと、これって」
「俺の、アパートの、カギ」
 慌てて謝るあたしの顔を見ようともせず、先生は大量の煙を吐き出しながらぶっきらぼうに繰り返した。

 -つづく-
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