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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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この指を伸ばす先-91
2009年03月28日 (土)
 ――あーんな真面目な顔で、なに話してんだろ。
 短い言葉を交わしながら競うようにキーボードを叩く二人を横目に、理香は妙にのんびりした気分で茶筒を開けた。総務課に入った頃から、来客や一休み用のお茶を淹れる役目は新人に順番で回ってきていたため、コピー取りと並んで手慣れた仕事だ。暗い茶筒の内側で上品な螺旋を描く茶葉に、さすがに役員室のは物が違うわと呟きながら、理香は贅沢にも普段よりも多めに急須に落とした。ホテルの一室に備えられていそうな小さめのステンレスポットをゆっくりと傾け、七十度程度に冷めた飲み頃の湯を八分目まで注ぎ込む。ふわりと急須から上がる丸い湯気の上に、うずくまったカエルを模した蓋の取っ手をそっとつまんで乗せる。
 でもああいう顔したら、ちょっとカッコイイかも?
 ひそめた眉の上に前髪が落ちるのも構わずディスプレイを睨みつける亮治の横顔に、理香はのん気な感想を持った。
 何が起こっているのか何をしているのかは全くわからないが、普段は常にどこかに余裕を見せている亮治が緊迫した表情を浮かべているのだから厳しい状況なのだろうとは思うが、秘書とは名ばかりで、ここへ来てからしたことと言えば二人とのセックスのみと言う理香にそれを実感するのは難しい。普段からあれくらい真面目に仕事すればいいのにと、部外者の視線でゆっくりと急須を傾け、湯飲みへ鮮やかな若竹色の液体を満たした。
「はいどうぞ、先輩。井出さんも」
 重ねてあった丸い盆の内の一番小さいものへ茶托を並べ、二人の仕事の邪魔にならない程度の近くへ湯飲みを置く。
「ん、ああ」
「ありがとうございます」
 ちらりと一瞬だけ理香に視線を向けた亮治が小さく頷き、達也は短い言葉ながら丁寧に礼を述べる。見た目も態度も対照的な二人に理香は小さく笑みを漏らすと、くるりときびすを返した。

 -つづく-
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