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2008年12月13日 (土)
「本当に、しょうがないな」
気持ちよさそうに息を乱しながら先生は小さく頷いてくれた。
あたしにねだられて仕方なくって態度はやっぱり変わらないけど、でもここをこんなにしてるんだから、えっちしたいのだけは確か。あたしを呼び出したのは先生だし、ここに車を停めて、そういう話の流れからキスしてくれたのも先生のほうからだし。
だからってあたしを好きとか自惚れないから、先生があたしのことを抱きたいって、そういう対象だって思ってくれたらいいなって思う。特別に何かを望んでるわけでもなんでもなくて、このときだけそういう目を向けてくれたら、それで充分なんだ。
「よっと」
あたしを抱きしめたまま上半身だけを起こすと、身体をねじるように思いっきり手を伸ばして、先生は助手席のダッシュボードの取っ手を引っ張った。ばくんと大きく口を開けた空間にいくつかの書類が積まれていた。その上の銀色に光る金属製の箱を先生は軽く指先で引き寄せた。それは、先生たちみんながよく持ってる、自分専用のチョーク入れにすごく似てた。
「それ、なぁに?」
あたしの問いかけに意味ありげに細めたまなざしをちらりと一瞬向けてから、先生は黙ったまま蓋を片手で開けた。
「わかるだろう?」
くすりと笑う先生が見せてくれた中には、平べったい四角いものがお行儀よく並んでいた。
「え、っと……」
それは、いわゆる避妊具。コンドーム。
でも、コンドームって表現はあたしも含めてみんななんとなく恥ずかしいみたいで、だからゴムって言う。さすがに自分で買ったことはないけど、でもドラッグストアに普通に並んでるし先生たちはあたしとするときに当たり前のように出すし見慣れてるけど、でも改めて見せられると、どこか気恥ずかしいのも確か。
「ほら」
なんとなく直視できなくて目をそらしたのに気付いたのか、きれいな指先は一番上のをすうっとつまんであたしの目の前にぶらさげた。反射的にそれを手のひらに受け取って、でもどうしていいかわからない。助けを求めて顔を上げても、落ちてきた前髪に上が少し隠れた涼しげな目は、楽しそうにあたしの反応を見てるだけ。
-つづく-
気持ちよさそうに息を乱しながら先生は小さく頷いてくれた。
あたしにねだられて仕方なくって態度はやっぱり変わらないけど、でもここをこんなにしてるんだから、えっちしたいのだけは確か。あたしを呼び出したのは先生だし、ここに車を停めて、そういう話の流れからキスしてくれたのも先生のほうからだし。
だからってあたしを好きとか自惚れないから、先生があたしのことを抱きたいって、そういう対象だって思ってくれたらいいなって思う。特別に何かを望んでるわけでもなんでもなくて、このときだけそういう目を向けてくれたら、それで充分なんだ。
「よっと」
あたしを抱きしめたまま上半身だけを起こすと、身体をねじるように思いっきり手を伸ばして、先生は助手席のダッシュボードの取っ手を引っ張った。ばくんと大きく口を開けた空間にいくつかの書類が積まれていた。その上の銀色に光る金属製の箱を先生は軽く指先で引き寄せた。それは、先生たちみんながよく持ってる、自分専用のチョーク入れにすごく似てた。
「それ、なぁに?」
あたしの問いかけに意味ありげに細めたまなざしをちらりと一瞬向けてから、先生は黙ったまま蓋を片手で開けた。
「わかるだろう?」
くすりと笑う先生が見せてくれた中には、平べったい四角いものがお行儀よく並んでいた。
「え、っと……」
それは、いわゆる避妊具。コンドーム。
でも、コンドームって表現はあたしも含めてみんななんとなく恥ずかしいみたいで、だからゴムって言う。さすがに自分で買ったことはないけど、でもドラッグストアに普通に並んでるし先生たちはあたしとするときに当たり前のように出すし見慣れてるけど、でも改めて見せられると、どこか気恥ずかしいのも確か。
「ほら」
なんとなく直視できなくて目をそらしたのに気付いたのか、きれいな指先は一番上のをすうっとつまんであたしの目の前にぶらさげた。反射的にそれを手のひらに受け取って、でもどうしていいかわからない。助けを求めて顔を上げても、落ちてきた前髪に上が少し隠れた涼しげな目は、楽しそうにあたしの反応を見てるだけ。
-つづく-
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