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2007年11月14日 (水)
「明日から?」
先生の唇の隙間からタバコの煙がふーっと吐き出される。押し出されるように勢いよくフロントグラスに当たった白っぽいかたまりが壊れて弾けて、中身がこぼれるようにもわんと煙が広がる。ゆっくりと広がって行く、苦いにおい。
「あたしたち、どうなるのかなーって思って」
「どう、って」
言いながら先生はちょっと目を伏せた。でもすぐに視線を真っ直ぐ前に向けて、運転に集中してるふりをする。聞こえないふりをする。
「だって、あたしと先生は明日も明後日も顔を合わせちゃうでしょ?」
朝イチにショートホームルームあるしね。
「ね、センセはどうするの。なーんにもなかった顔、するの?」
わざと笑顔でそう言うと、藤元先生は斜め上から見おろすようにあたしを見て口を開きかけて、でも何も言わないまま唇の隙間にタバコを差し込んで、ふっと眼をそらした。無表情にも見えるその横顔に唇が尖ってしまう。
「何もなかったことにしたいんだ?」
そういう態度っておもしろくない。あんなことになったのは藤元先生のせいだなんて思ってないけど、責任取って欲しいなんて全然思ってないけど。
「そっか、そうなんだぁ」
わざと独り言のように言いながら、あたしも顔を真正面に向けてシートにどさっともたれた。指を組むように両手を合わせて大きく背伸びをする。先生が横目でそっとあたしを見てるのがなんとなくわかったけど、でも知らん顔をしてみる。
思いっきり背をそらして腕を上げるとやわらかい薄い布地が指先に当たる。天井の低い先生の車は、それほど背の高くないあたしでも簡単に屋根にさわれる。先生が腕を上げたらひじが当たっちゃうくらいかもしれない。というか、今だって車の天井と先生の頭のあいだは狭いし。先生、背高いもんね。
「なんだ、そういうことかぁ。あたし、バカみたいだなぁ」
呟くようにそう言うと、先生はびくっと一瞬身体を硬直させた。ギギギと音を立てそうな感じで斜めに頬を向けてあたしを見た。
-つづく-
先生の唇の隙間からタバコの煙がふーっと吐き出される。押し出されるように勢いよくフロントグラスに当たった白っぽいかたまりが壊れて弾けて、中身がこぼれるようにもわんと煙が広がる。ゆっくりと広がって行く、苦いにおい。
「あたしたち、どうなるのかなーって思って」
「どう、って」
言いながら先生はちょっと目を伏せた。でもすぐに視線を真っ直ぐ前に向けて、運転に集中してるふりをする。聞こえないふりをする。
「だって、あたしと先生は明日も明後日も顔を合わせちゃうでしょ?」
朝イチにショートホームルームあるしね。
「ね、センセはどうするの。なーんにもなかった顔、するの?」
わざと笑顔でそう言うと、藤元先生は斜め上から見おろすようにあたしを見て口を開きかけて、でも何も言わないまま唇の隙間にタバコを差し込んで、ふっと眼をそらした。無表情にも見えるその横顔に唇が尖ってしまう。
「何もなかったことにしたいんだ?」
そういう態度っておもしろくない。あんなことになったのは藤元先生のせいだなんて思ってないけど、責任取って欲しいなんて全然思ってないけど。
「そっか、そうなんだぁ」
わざと独り言のように言いながら、あたしも顔を真正面に向けてシートにどさっともたれた。指を組むように両手を合わせて大きく背伸びをする。先生が横目でそっとあたしを見てるのがなんとなくわかったけど、でも知らん顔をしてみる。
思いっきり背をそらして腕を上げるとやわらかい薄い布地が指先に当たる。天井の低い先生の車は、それほど背の高くないあたしでも簡単に屋根にさわれる。先生が腕を上げたらひじが当たっちゃうくらいかもしれない。というか、今だって車の天井と先生の頭のあいだは狭いし。先生、背高いもんね。
「なんだ、そういうことかぁ。あたし、バカみたいだなぁ」
呟くようにそう言うと、先生はびくっと一瞬身体を硬直させた。ギギギと音を立てそうな感じで斜めに頬を向けてあたしを見た。
-つづく-
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