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2007年08月24日 (金)
「あ、そうだ。アレ使おうか?」
悪戯っぽい顔でそう言うと彼は前戯の手を止め、ふいと身を起こした。
エッチのとき専用の赤い小さなランプ の光が、たいして広くもないわたしの部屋を照らしていた。そんな灯りでも、目を凝らせば間近にいる人の表情はわかる。だから彼の唇の端が薄く歪んでいるのも見えた。
「アレ、って?」
「やだな、アレはアレだよ」
そう言うと、彼はおかしそうに目を細めて低く笑った。
その顔には見覚えがあった。真面目そう優しそうと、友だちみんなが評する彼の外見からは想像もつかないような、別の一面が出る前兆だった。普段はラブラブなエッチを好む彼が、なぜかわたしを犯すように抱きたがる、そのときの。
迷う様子もなく、彼の手がチェストの上に置かれた水色のコスメボックス に伸びた。裏に大きな鏡のついた蓋を開けて中をガサゴソと探り、「あった」と嬉しそうに呟く。
「ほら、これ、香奈好きでしょ? こないだすごかったじゃん」
頼りない灯りの元、彼の指先に白く浮かび上がった物の名前は、ラブリュイール・クール 。
それは、ラブコスメと呼ばれるものだった。女性の秘めやかな箇所に塗り、心と身体を潤しセックスを楽しむためのマッサージジェル。性感を煽る効果もある。以前に一度使ったことがあったのだが、どうやら彼はそのときのわたしの嬌態がひどく気に入ったらしかった。
「え、で、でも……」
確かに気持ちいいのだが、それ以上に、自分でも理解できないほどに乱れる。そんな姿を彼の前に晒すということにためらいも残る。いやらしい女だとは思われたくない。
けれど、それは単なるポーズだった。彼が本気になればわたしの抵抗など儚い。男女の力の差は歴然としていた。ためらって見せることで恥じらいを印象付け、可愛い女を訴える。恋愛上の一種の駆け引きだった。
「いいからいいから。ほら」
思った通り、彼はわたしを強引にシーツへと押し付け、ひざを大きく開かせた。脚の付け根の中心の、女の身体の中でもっとも敏感な箇所へ、やわらかなジェルがぬるりと塗りつけられる。
「んん……」
そっと触れただけの指先がゆっくりと大きく動く。傷口に薬を塗り込めるような優しさで、ぬるぬるとマッサージが続けられる。それだけでも気持ちいい。
「どんな感じ?」
「んー。なんか、スースーしてきた……」
クールの名は、こういう効果があるからなのだろう。彼の指が辿った跡がメントールを配合したかゆみ止めのように、奇妙な清涼感を持ち始める。軽い痛みに似た冷たい感覚がジンジンと痺れ始める。
「あっ、はっ……あ、ん……龍ちゃん……」
「どう、気持ちいい?」
悪戯のつもりなのか、ときおり指の速度が変わり細かな蠕動が加わる。けれどそれもわたしの声が切羽詰ると、元の緩やかな動きに戻ってしまう。
「や、だぁっ」
思わず不満を訴えると、彼はくすりとおかしそうに笑った。
-つづく-
悪戯っぽい顔でそう言うと彼は前戯の手を止め、ふいと身を起こした。
「アレ、って?」
「やだな、アレはアレだよ」
そう言うと、彼はおかしそうに目を細めて低く笑った。
その顔には見覚えがあった。真面目そう優しそうと、友だちみんなが評する彼の外見からは想像もつかないような、別の一面が出る前兆だった。普段はラブラブなエッチを好む彼が、なぜかわたしを犯すように抱きたがる、そのときの。
迷う様子もなく、彼の手がチェストの上に置かれた
「ほら、これ、香奈好きでしょ? こないだすごかったじゃん」
頼りない灯りの元、彼の指先に白く浮かび上がった物の名前は、
それは、ラブコスメと呼ばれるものだった。女性の秘めやかな箇所に塗り、心と身体を潤しセックスを楽しむためのマッサージジェル。性感を煽る効果もある。以前に一度使ったことがあったのだが、どうやら彼はそのときのわたしの嬌態がひどく気に入ったらしかった。
「え、で、でも……」
確かに気持ちいいのだが、それ以上に、自分でも理解できないほどに乱れる。そんな姿を彼の前に晒すということにためらいも残る。いやらしい女だとは思われたくない。
けれど、それは単なるポーズだった。彼が本気になればわたしの抵抗など儚い。男女の力の差は歴然としていた。ためらって見せることで恥じらいを印象付け、可愛い女を訴える。恋愛上の一種の駆け引きだった。
「いいからいいから。ほら」
思った通り、彼はわたしを強引にシーツへと押し付け、ひざを大きく開かせた。脚の付け根の中心の、女の身体の中でもっとも敏感な箇所へ、やわらかなジェルがぬるりと塗りつけられる。
「んん……」
そっと触れただけの指先がゆっくりと大きく動く。傷口に薬を塗り込めるような優しさで、ぬるぬるとマッサージが続けられる。それだけでも気持ちいい。
「どんな感じ?」
「んー。なんか、スースーしてきた……」
クールの名は、こういう効果があるからなのだろう。彼の指が辿った跡がメントールを配合したかゆみ止めのように、奇妙な清涼感を持ち始める。軽い痛みに似た冷たい感覚がジンジンと痺れ始める。
「あっ、はっ……あ、ん……龍ちゃん……」
「どう、気持ちいい?」
悪戯のつもりなのか、ときおり指の速度が変わり細かな蠕動が加わる。けれどそれもわたしの声が切羽詰ると、元の緩やかな動きに戻ってしまう。
「や、だぁっ」
思わず不満を訴えると、彼はくすりとおかしそうに笑った。
-つづく-
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