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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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この指を伸ばす先-62
2007年07月26日 (木)
 久しぶりに会った大学時代の友人たちとランチで来たことがわずかに一度あるだけの高級ホテルを見上げて、理香はあごを突き出すようにして叫んだ。
「なんでと言われてもな」
 噛み付かんばかりの理香を横目に、ホテルの正面へと車を向けながら亮治は端正な表情を崩さず口の端だけでにっと笑った。
「ここがあっちの指定してきた場所だからだ。八時半に人と会うことになっている。今は……二十二分か。よし、間に合ったな」
「へ?」
 腕時計に目を落とし時間を確認する亮治の口から、思ってもいなかった方向で返ってきた言葉に、理香はぽかんと口を開けた。
「ええと、じゃあ仕事ってのはホント……?」
「そんなつまらない嘘を言ってどうする。さあ降りろ。二十三分になったぞ、あと七分だ」
 背の低い針葉樹が並んで植えられた正面口の、上半分がステンドグラスで飾られた豪奢な回転ドアの前に着けると、亮治はきゅっと車を停めた。身体をひねるようにして後部座席に置かれたファイルがたっぷり詰まった紙袋を取ると、理香の尻を叩くように追い出し、自らも運転席のドアを抜ける。
「え、でも、車こんなところに置いたら――」
「これは、榊原さま」
 慌てる理香の背後からやわらかな声がかかる。こんなところへ駐車してと怒られるのかと怯え、おそるおそる振り返った理香の目の前には、にこやかな笑みを浮かべる若いドアマンが立っていた。
「おはよう、近崎さん」
「おはようございます、榊原さま」
 若いと言っても三十前後のその年齢は、理香から見れば随分と年上だ。それは勿論亮治も同じことだ。年上の相手に『さま』付けで呼ばれるなど、理香の身には滅多に起こることではない。ちらりと隣の表情を見上げるが、そこに大きな変化はなかった。
 あたしだったらおどおどしちゃうけどなー。
 素直な感想を内心で述べながら、顔見知りらしい二人が挨拶をするのを理香はぼおっと眺めた。ホテルの従業員までが亮治を知っているとは、今まで何度来たことがあるのだろう。二度目である自分とは大違いだ。この年齢ではそれくらいが普通だとは思うが、だからこそ亮治と自分との差を見せ付けられたように理香には思えた。
 このお坊ちゃまが!
 朝から何度も思った言葉を小声で呟き、理香はわずかに溜飲を下げた。

 -つづく-
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