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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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この指を伸ばす先-50
2007年06月17日 (日)
「ただいま戻りました」
 午後四時半を少し過ぎた頃、音もなく静かに開いた扉のあいだからその巨体をわずかに覗かせ執務室内部をさっと眺めたあと、何事もなかった顔で達也はゆっくりと室内に足を踏み入れた。中央の大きなデスクで書類に埋もれるように座る部屋の主が前髪の間から目を上げる。
「ノックくらいしろ」
 不機嫌を絵に描いたような声でそれだけを言うと、亮治は視線をノートパソコンのディスプレイに戻す。表示された数字を手近の書類と見比べボールペンの先をその周囲に叩きつけながら、亮治は舌打ちをした。
「すみません。取り込み中だったらと思いまして」
「余計な気を回すな」
「はい、すみません」
 謝りながらも平然とした表情を崩さず後ろ手にドアを閉めると、達也はデスクに歩み寄った。
「先方から借りてきた書類です。こちらは聞き取り書。走り書き程度ですが、対応する書類のページ数を書き込んでおきましたので、確認するときに使ってください」
 言葉と同時にわずかに空いたデスクのスペースに小脇に抱えた書類の束を置き、ぐるりと周囲を見渡した。
「彼女は、どうしました?」
「もう帰した」
 短く一言だけを返すと、亮治は達也が持ち帰ったばかりの書類を手に取り、パラパラとめくった。
「はあ」
 曖昧に頷く達也をじろりと見上げると、亮治は手にしたボールペンを軽く振った。
「総務へ行って、おまえたち二人分の机が明日朝一で届くように手配してこい。それが済めば、おまえも今日はもう帰ってもいいぞ。これ以上することはない」
 追い払うように達也に向けて右手を振ると、亮治は手元に再び目を落とす。あからさまな亮治の態度に達也はわずかに笑みを見せた。
「いらついてるみたいですね。失敗したんですか?」
 からかう響きを含んだ達也の言葉に、亮治はキーボードを操っていた手の動きを止め、そして無言のまま視線を上げた。
「モトカノ相手に随分てこずってるんですね。五年の壁はどんな感じです?」
 亮治のデスクの端に軽く腰を下ろすと腕を組み、達也は楽しげに目を細めた。上司に相対するとは思えない不敬な態度を気にすることなく、そして亮治も達也のそんな態度を咎めることもしない。

 -つづく-
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