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2007年02月22日 (木)
感情的な理香の怒鳴り声にも、亮治の態度は変わらなかった。前髪のあいだでその瞳が笑みの形に細まる。からかうような口調のまま理香の身体に回した腕に力を篭める。
「バカなことを言うな」
「バカはどっちよっ」
それは五年前。夏休みに入る少し前だった。
高校時から付き合っていた二つ年上の亮治に、理香は突然呼び出された。待ち合わせたファミリーレストランで、大きなブランド物のボストンバッグを持って現れた亮治は、これから留学するとだけ言った。そこに至った過程を全く知らされることなく、一方的に事実だけを告げたのだ。行っては嫌だと泣く理香の腕を、亮治は飛行機の搭乗時間が迫っているからと簡単に振り解いた。
「六年以内に帰ってくると言っただろう。おまえが俺を信じなかっただけだ」
「だったら、電話くらいしてくれても!」
「忙しかったからな、忘れていた」
しれっと言い放つと、亮治は理香の身体へ指を這わせた。
「やだ、やめてっ」
「安心しろ。おとなしくしていれば、ひどいことはしない」
なだめるような口調で、けれどその右手は素早く理香のベストとブラウスのボタンを外して行く。理香がどれほど抵抗してもその指は止まらない。
「そう言う問題じゃないの! 今、あたしは仕事中で、これを置いて部署に戻らないといけないの! どっから入ってきたのか知らないけど、さっさと出てって!」
「なぜ出て行かなくてはならない。ここは俺の執務室だ」
「ふぇ?」
間抜けな声を上げた理香の様子に楽しげに唇の端を歪ませると、亮治は長く伸ばした舌を耳へと這わせた。
「なんだ、知らなかったのか。ここは俺の伯父の会社だ」
ちゅっと音を立てて小さなピアスごと耳朶を吸い上げられると、寒気にも似た衝撃が理香の背を走った。思わず上げそうになった声を必死でのどで押し殺したが、自分の吐息が甘く乱れ始めていること、それに気付いた亮治が薄笑いを浮かべていることまでは気持ちが回らない。
-つづく-
「バカなことを言うな」
「バカはどっちよっ」
それは五年前。夏休みに入る少し前だった。
高校時から付き合っていた二つ年上の亮治に、理香は突然呼び出された。待ち合わせたファミリーレストランで、大きなブランド物のボストンバッグを持って現れた亮治は、これから留学するとだけ言った。そこに至った過程を全く知らされることなく、一方的に事実だけを告げたのだ。行っては嫌だと泣く理香の腕を、亮治は飛行機の搭乗時間が迫っているからと簡単に振り解いた。
「六年以内に帰ってくると言っただろう。おまえが俺を信じなかっただけだ」
「だったら、電話くらいしてくれても!」
「忙しかったからな、忘れていた」
しれっと言い放つと、亮治は理香の身体へ指を這わせた。
「やだ、やめてっ」
「安心しろ。おとなしくしていれば、ひどいことはしない」
なだめるような口調で、けれどその右手は素早く理香のベストとブラウスのボタンを外して行く。理香がどれほど抵抗してもその指は止まらない。
「そう言う問題じゃないの! 今、あたしは仕事中で、これを置いて部署に戻らないといけないの! どっから入ってきたのか知らないけど、さっさと出てって!」
「なぜ出て行かなくてはならない。ここは俺の執務室だ」
「ふぇ?」
間抜けな声を上げた理香の様子に楽しげに唇の端を歪ませると、亮治は長く伸ばした舌を耳へと這わせた。
「なんだ、知らなかったのか。ここは俺の伯父の会社だ」
ちゅっと音を立てて小さなピアスごと耳朶を吸い上げられると、寒気にも似た衝撃が理香の背を走った。思わず上げそうになった声を必死でのどで押し殺したが、自分の吐息が甘く乱れ始めていること、それに気付いた亮治が薄笑いを浮かべていることまでは気持ちが回らない。
-つづく-
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