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2007年01月13日 (土)
彼には彼の立場があるのだから、もっとおおらかにその行動を見守るべきだったのだ。おそらくは、嫉妬で目がくらんでいたのだろう。それはそれで仕方のないことだとも思うのは、自分に甘いのかもしれないけれど。
「そのままじゃ眠れないわよね。これに着替えて」
肩を押さえて彼をベッドに座らせ、ローチェストの一番下の引出しからジャージタイプのパジャマを引っ張り出した。それを視界の端で確認したらしき彼の眼がわずかに見開かれる。その理由は明らかだったけれど、わたしは気付かない顔をした。
「ごめんね、これくらいしか着れそうなサイズないから」
「え、あ、うん。ありがと」
口ごもりながらも礼を言う彼の手に、畳んだままの服を押し付ける。
ブロッサムピンクにグレイの二本ラインはわたしのお気に入りだけれど、男性には抵抗のある色だろう。それでもこの際致し方ないものだと諦めてもらう。引出しの中には他にもいくつか入っていて、その中には男性が着ても違和感のない色合いのものもあるのだけれど、今はそのことに思いつかない振りをする。少し弱っている彼相手でもこれくらいの仕返しは許されるだろう。
「とりあえず、それ脱いで」
言葉の流れのままに、タバコとお酒と香水のにおいの染み付いた上着を脱がせる。続きのようにシャツのボタンに指をかけると、彼の慌てた手がわたしを止めた。
「いや、大丈夫。自分でする、から」
「そう? じゃあよろしく。わたし遅刻しそうだから」
先ほど選んでおいた服を持って台所へ行き、部屋の隅で手早く着替えた。置き薬のボックスと、冷蔵庫から取り出した強壮ドリンクと、二リットルのミネラルウォータのボトルをローチェストの上にどんと置いて、鞄を持つ。
「悪いけど、自分でその中から薬選んで。わたし、もう行くから」
上半身裸のまま曖昧に頷く彼を横目に、足早に部屋を出た。
彼の体調はとても気になるけれど、やはり仕事が優先だ。彼氏が風邪を引いたみたいなので休みをくださいなどと上司に言えるものではない。みんなにも迷惑をかけることになる。
そんなことばかりを気にする自分の生真面目さに溜息が出た。
-つづく-
「そのままじゃ眠れないわよね。これに着替えて」
肩を押さえて彼をベッドに座らせ、ローチェストの一番下の引出しからジャージタイプのパジャマを引っ張り出した。それを視界の端で確認したらしき彼の眼がわずかに見開かれる。その理由は明らかだったけれど、わたしは気付かない顔をした。
「ごめんね、これくらいしか着れそうなサイズないから」
「え、あ、うん。ありがと」
口ごもりながらも礼を言う彼の手に、畳んだままの服を押し付ける。
ブロッサムピンクにグレイの二本ラインはわたしのお気に入りだけれど、男性には抵抗のある色だろう。それでもこの際致し方ないものだと諦めてもらう。引出しの中には他にもいくつか入っていて、その中には男性が着ても違和感のない色合いのものもあるのだけれど、今はそのことに思いつかない振りをする。少し弱っている彼相手でもこれくらいの仕返しは許されるだろう。
「とりあえず、それ脱いで」
言葉の流れのままに、タバコとお酒と香水のにおいの染み付いた上着を脱がせる。続きのようにシャツのボタンに指をかけると、彼の慌てた手がわたしを止めた。
「いや、大丈夫。自分でする、から」
「そう? じゃあよろしく。わたし遅刻しそうだから」
先ほど選んでおいた服を持って台所へ行き、部屋の隅で手早く着替えた。置き薬のボックスと、冷蔵庫から取り出した強壮ドリンクと、二リットルのミネラルウォータのボトルをローチェストの上にどんと置いて、鞄を持つ。
「悪いけど、自分でその中から薬選んで。わたし、もう行くから」
上半身裸のまま曖昧に頷く彼を横目に、足早に部屋を出た。
彼の体調はとても気になるけれど、やはり仕事が優先だ。彼氏が風邪を引いたみたいなので休みをくださいなどと上司に言えるものではない。みんなにも迷惑をかけることになる。
そんなことばかりを気にする自分の生真面目さに溜息が出た。
-つづく-
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