2ntブログ
R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
スポンサーサイト
--年--月--日 (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
花を召しませ-終話
2006年12月22日 (金)
「あの、よかったら……」
「気持ちだけで充分だから。ありがと」
 締め終えたネクタイを調えながら振り返り、わたしの言葉を遮るように彼はにっこりと笑った。
「え?」
「車買ってあげようか、とか言おうとしたでしょ。全くもう」
 悪戯っぽく笑いながらわたしの頭を軽くぽんぽんと撫でて、そして手の中の上着を取った。
「自分で買うから大丈夫。美雪さんにお金出させるようなことはできません」
 上着のボタンを留めると、彼は悪戯っぽく微笑みながらに身をかがめて、頬を指先で軽く叩いた。恋人同士の基本だと彼が力説する『行ってらっしゃいのキス』のおねだりのポーズだった。そのキラキラした目は、母親にお菓子をねだる子どものようだ。さっきまでのあのいやらしさが嘘みたいだと思うと笑ってしまいそうになる。彼は、わたしの普段とセックスのときの態度の違いをよく指摘するけれど、こういうところでは彼も似たようなものだと思う。
「今日はこれで帰るけど。でも、次来たときは覚悟しといてよ。徹底的に美雪さん食っちゃうからね」
「はい、どうぞどうぞ」
 こんなわたしでよかったら。
「いつでもどうぞ、召し上がれ」
 冗談混じりにそう言うと、彼は驚いたように目を見開いて、そしてにやりと笑った。しまった、口が滑ったと思いかけて、でもそれでもいいかと考え直す。
 ――だって、シズくんだから。
「行ってらっしゃい」
 彼の頬に唇を軽く押し当てると、応えるように大きな腕がわたしを抱き寄せた。大好きな笑顔が優しく抱きしめてくれる。
「はい、行ってきます」
 それは、永遠のような一瞬だった。
 これからも続いて欲しいと思う、続けて行きたいと願う、涙が出そうなくらい幸せな一瞬だった。

  -おわり-
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
名乗ってもいいけど表には出さないでと言うかたは名前をカッコで閉じてください→例(にゃお)