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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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花を召しませ-91
2006年12月21日 (木)
「でも、残念ながら」
 一転した声に顔を上げると、さっきまでの笑顔はどこへやら、彼は情けなさそうに眉をひそめていた。指先が細かく動いてネクタイを解き始める。
「もう時間切れなんだ。さっさと一回終わらせて、二回目……とか思ってたのに、失敗した。時間配分を間違えた。急いだつもりだったのに」
 その内容はともかく、深く溜息をつく横顔におかしくなる。
「あー、八時になっちゃったな。電車だし、もう行かないと」
 携帯電話のサブディスプレイで時間を確認すると、彼はわたしの頬に軽いキスをしてベッドを降りた。痺れたと訴える手首をなだめるように撫ぜながら顔を上げると、彼は髪を指で梳きながらシャツのボタンを留めていた。その様子を見た瞬間に、素肌を晒している自分に気付く。慌ててベッドからシーツを引き剥がして胸に巻きつけると、低い含み笑いが聞こえた。
「なんで、隠すの。せっかくのいい眺めなのに」
「そう言う問題じゃないから! それより、電車って?」
「ああ、うん。車も返したからね、今日から電車なんだ。あげるって言われたんだけど、でもそれもけじめだから」
 曖昧な表情で答えながら彼はベルトを通す。シャツの裾をスラックスに入れてジッパーを引き上げて、ネクタイを首にかける。
「早く車買おう。とにかく安いヤツ。中古の軽でいいから」
 ブツブツ言いながらも手早くネクタイを結ぶ彼の顔に、軽自動車はちょっと雰囲気的に似合わないような気もするんだけど、などと思いながらベッドに残っていた上着を手に取った。
「そうだね。車は要るよね」
 わたしのアパートから店へは、滅多に混むことのない裏道を使えば二十分そこそこで着くけれど、電車で移動すると駅までの距離だけで十分以上、電車で更に二十分。店の最寄駅からも少し歩かなければならないから、待ち時間を含めると車移動の二倍以上は軽く掛かる計算になる。それも電車が動いていれば話で、深夜にも働く彼は終電後はタクシーを使うか、あるいは始発を待たなければならない。毎日がそれではあまりにも不便だろう。

  -つづく-
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