2ntブログ
R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
スポンサーサイト
--年--月--日 (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
花を召しませ-80
2006年12月06日 (水)
「えーっと、これ……?」
 金とプラチナが混じった枠を指先でそっとつまんでみる。きっちりとはまった切れ込みから外れまいとするように一瞬の抵抗をしてから、それはわたしの手の中に転がり込んできた。手のひらに乗せて眺める。ころんとしたピンクのハートが肌の色を透かして、蛍光灯を薄いピンクで反射した。金の地に入ったプラチナのラインがやわらかく光の波を流して見せる。
「これ、わたしに? もらっていいの?」
「そりゃそうでしょ。じゃなきゃここに持ってこないよ」
 おかしそうに彼が笑う。
「でも、残念だけどピンクトパーズ。安物だよ」
 残念という言葉の意味がわからなかった。安物かどうかも関係なかった。彼から指輪をもらったという事実が嬉しかった。
 指輪を男性にもらうなど、今までの人生であっただろうか。それも男の人に。お付き合いしている彼に。そんなふうに考えた瞬間に涙が出そうになって、慌てて声を上げる。
「ううん、そんなの全然! すごく嬉しい、ありがとう!」
「本当はピンクダイヤとかパパラチアを贈りたかったんだけど、俺あんまり金持ってない……というか、今はすっからかんだからね。完璧、手が出ない」
 軽く肩をすくめて申し訳なさそうに彼は言う。
 パパラチアってなんだろう。宝石の名前かな、そういう名前の石があるのかな。宝石類に詳しくないわたしには理解できなかったけれど。
「気に入ってもらえたみたいでよかった。美雪さんの好みがわかんなかったから、結構悩んだんだ。これじゃ子どもっぽすぎるかな、もっと落ち着いた感じのほうが好きかなとか、思ったんだけど」
 安堵したように軽い溜息をつきながら彼は笑った。軽く笑い返してから手の中の小さなハートに目を落とす。
 彼は、わたしの好みがどんなものだろうかと、考えてくれたのだろうか。華やかなアクセサリーショップの店先で、あるいは店内で、いろんな品物を見ながらわたしのことを、わたしに似合う物をと考えてくれたのだろうか。どれならばわたしが喜ぶのかと考えたのだろうか。脳裏にそんな彼の姿を描いた瞬間、一気に視界が歪んだ。

  -つづく-
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
名乗ってもいいけど表には出さないでと言うかたは名前をカッコで閉じてください→例(にゃお)