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2006年11月17日 (金)
「そうだな、全部吐いちまえシズ。そうすればおまえだってすっきりするだろう?」
曖昧な笑みを浮かべながらのオーナーの言葉に、有理は髪を広げるような勢いで振り返った。
「ちょっと、何よそれ? 正直、シズなんかあたしはどーでもいいの。問題は美雪よ、美雪が一番傷ついてンだからね! こんな状況になることがそもそも情けないんじゃないのよ!」
うわ、手厳しい。
「いや、だけど、おまえ……」
「アンタはちょっと黙ってて!」
叩きつけるように有理がぴしゃりと言い放つと、オーナーは肉厚の肩を軽くすくめて「はい」と呟いた。この二人ってきっと付き合ってるんだろうな、そして有理のほうが強いんだろうな、なんて、そんなのんきなことを考えている場合じゃないけど。
「さあ、美雪も」
「はい」
名前を呼ばれて、なぜかいいお返事をしてしまう。けれど彼女は自分の隣を手で軽く押さえると、わたしを見上げてにっこり笑った。
「いつまでもそんなとこに突っ立ってないで、こっち座りなさい」
「あ、はい」
駆けるようにソファに近寄って彼女の隣に座る。彼女はわたしに視線を向けると、気遣わしげな表情で軽くやわらかく笑いながら頷いた。そのあまりの態度の違いに、男二人が一瞬顔を見合わせる。それが少しおかしい。ちらりとそう思いながら、ふとももにバッグを置いて、ひざを揃えた。
すぐ右に有理、その向こうにオーナー、そして真正面にシズくん。
「さあて、と」
有理はそう言うと、タバコの先に溜まった灰を指先で弾いて灰皿に落とした。それが合図だったかのように、わたしを含めて、有理以外の三人が顔を上げた。
「で? なんだって?」
「あ、はい」
ぴんと、まるで胸を張るように背をそらしながらも、シズくんのそのまなざしはひどく暗かった。
「ええと、ですね――」
-つづく-
曖昧な笑みを浮かべながらのオーナーの言葉に、有理は髪を広げるような勢いで振り返った。
「ちょっと、何よそれ? 正直、シズなんかあたしはどーでもいいの。問題は美雪よ、美雪が一番傷ついてンだからね! こんな状況になることがそもそも情けないんじゃないのよ!」
うわ、手厳しい。
「いや、だけど、おまえ……」
「アンタはちょっと黙ってて!」
叩きつけるように有理がぴしゃりと言い放つと、オーナーは肉厚の肩を軽くすくめて「はい」と呟いた。この二人ってきっと付き合ってるんだろうな、そして有理のほうが強いんだろうな、なんて、そんなのんきなことを考えている場合じゃないけど。
「さあ、美雪も」
「はい」
名前を呼ばれて、なぜかいいお返事をしてしまう。けれど彼女は自分の隣を手で軽く押さえると、わたしを見上げてにっこり笑った。
「いつまでもそんなとこに突っ立ってないで、こっち座りなさい」
「あ、はい」
駆けるようにソファに近寄って彼女の隣に座る。彼女はわたしに視線を向けると、気遣わしげな表情で軽くやわらかく笑いながら頷いた。そのあまりの態度の違いに、男二人が一瞬顔を見合わせる。それが少しおかしい。ちらりとそう思いながら、ふとももにバッグを置いて、ひざを揃えた。
すぐ右に有理、その向こうにオーナー、そして真正面にシズくん。
「さあて、と」
有理はそう言うと、タバコの先に溜まった灰を指先で弾いて灰皿に落とした。それが合図だったかのように、わたしを含めて、有理以外の三人が顔を上げた。
「で? なんだって?」
「あ、はい」
ぴんと、まるで胸を張るように背をそらしながらも、シズくんのそのまなざしはひどく暗かった。
「ええと、ですね――」
-つづく-
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