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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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花を召しませ-55
2006年10月27日 (金)
「ま、それで親父殴って家出たわけ。俺はこんなところでくず鉄に埋もれて首くくりたくなんかないぞ、とか叫んでさ」
 クスクスと彼は笑う。内容を思えば、笑いながら話すようなことじゃない。なのに、どうして彼は笑うのだろう。
「それが、本当のこと?」
 やっと出た言葉はひどく低くかすれていて、自分の声には思えなかった。けれど、彼はそれを指摘するでもなく気に掛ける様子もなく、ただ淡々と頷いて見せる。
「ん、まあ一応。全部じゃないけど」
 曖昧な表情のまま、彼は長くなった灰を落とした。
「なんでそんな話……今、するの?」
 こんなときに。
 子どもの頃の話とか、前にホストをしていたとか、お母さんのこととか。
「んー。なんだろ。美雪さん抱けたからかな。本当はもっと早くに言うべきだったのかもしれないんだけど……でもタイミングというか、きっかけがつかめなくてさ」
 きっかけ?
 わたしとのセックスが、きっかけ? それってどういう意味?
「というか、アレだな。本当のこと言うと、美雪さんが『こんなややこしいヤツなんか』って、逃げちゃうんじゃないかって」
 はぁっと深く溜息をつくと、彼は俯いたまま黙々とタバコを吸い続ける。
「それで、きっかけ?」
 口に出したつもりはなかったけれど、いつのまにか出てしまっていたらしい。彼はうーっと唸るような声を上げながらタバコを持ったままの手で頭を掻いた。彼のきれいな黒髪に白っぽい灰がはらはらと落ちて、汚らしいまだら模様を作る。
「だって、最初の男って特別だって言うじゃん。だったらさ、美雪さんは俺にそういう感情持ってくれるかなって。だったらその……チャンスかなって。もっと時間が経つと逆に言い出しにくくなりそうだし、できるだけ早い方がいいかなって」
 それが彼の本音なのだろうか。

  -つづく-
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