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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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あたしの彼はご主人さま-21
2005年12月27日 (火)
「散らかってるけど、適当に座ってて」
 そう言い残すと彼はドアを開けて隣の部屋へ消えた。
 あたしが残された『ユーキさんの部屋』は、地上二十二階の、窓の外にすごい展望が広がる広々としたリビングだった。部屋の片隅の、カウンターの向こうの四畳半くらいありそうなキッキンが、嘘みたいにこじんまりと見える。
 ぐるりと周囲を見回しながらあたしは着ていた制服の上着を脱いだ。
 彼の部屋は、というより、マンション全体が隅々まできちんと暖房が効いていて汗をかきそう。こんな完全な空調なんてもったいない。ついそう考えてしまうのは貧乏人根性が染み付いた悲しさかもしれない。
 あたしが中学に入る前にパパが交通事故で死んだ。保険とかはパパもママもまだ若かったから、ちゃんとしてなかったらしい。それでマンションの家賃が払えなくなって、今のアパートに引っ越した。パパは優しくていい人だったけどちょっと抜けてるとこがあったのよね。ママはそう言って笑う。
 みんな可哀想にって言ってくれたけど、でもあたしとママは仲良く楽しく暮らしてた。パパがいないのは寂しいけどママが帰ってくるまでの静かな部屋は寂しいけど、でもママはとてもあたしを可愛がってくれてるから、あたしはあたしが可哀想だなんて思ったことがない。ただちょっと寂しいだけ。くよくよしたって仕方ないもん。
「こんな部屋で一人で暮らしてて、ユーキさんは寂しくないのかな」
 どう考えても、ここに一人って広すぎると思うけど。
 リビングの家具は、カップとグラスと酒瓶が並んだ大きな飾り棚が一つ。
 うちの居間のテレビとは比べ物にならないくらいに大きいけど、でもこの部屋ならこれくらいは必要かなと思うサイズのテレビとビデオと、スピーカらしきもの、そしてビデオと文庫本と雑誌がつまった大き目の本棚が並んで、壁を丸々一枚占領していた。テレビの真向かいのセンターラグの中央に、ソファセット。
 部屋が広いから本当にがらんとしてる。それでもフランス製のダイニングテーブルとか高価そうな油絵とかシャンデリアなんてものがあったらどうしようかと思ってたあたしはほっとした。これなら少しは落ち着ける。
 ソファセットは、なんとなく丸っこい感じとカスタード色が可愛い。ソファとカウチが組み合わされたL字型で、二人くらいなら並んで寝転べそうな大きさ。テレビを見たり昼寝したりするのに使い勝手よさそう。ユーキさんの使ってる家具なんだからいいものなんだろうとは思うけど、でもものすごく高価そうには見えないから安心する。
 ソファと同色の背もたれのない小さなスツールと楕円形のテーブルもある。こっちのちっさいほうになら、勝手に座っちゃってもいいかな。座ってて、って言われたんだし別にいいと思うけど、でもちょっと悩んじゃうな。
 立ったままそんなことを考えてると、さっき閉まったドアが開いて、彼が戻ってきた。あたしと同じように上着を脱いでいた。白いシャツがチェックのカーキ色に、黒のスラックスがかすれた色合いのブラックジーンズに変わっていた。
「まあ、座って」
 そう言いながら彼はカウチのほうに腰を下ろした。多分そこが彼の定席なんだろう。そういう感じの、慣れた座りかただった。
「はい」
 言われるまま、ユーキさんの斜め向かいの位置にあるスツールに座った。顔を上げると彼のまなざしがあたしに向けられていた。口元は笑ってるけど、眼は間違いなく笑ってない。じっとあたしを観察しているような、そんな怖い目。
 どうしよう。あたし、どうしよう。

  -つづく-
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