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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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花を召しませ-38
2006年09月28日 (木)
 口紅と入れ替わりに取り出したタバコに火を点けると、有理は少し言い難そうな顔をした。
「年上の女――って言ってもあたしや美雪くらいとかじゃなくって、十や十五は年上の女と腕組んで歩いてたとか、いかにもって派手な化粧をした若い女を車に乗せてたとか。あと、深夜に高級マンションから出てくるのを見たとか」
 年上の人というのは、彼が仕事を手伝っているって人のことじゃないのかとも思ったけど。でも、腕を組んで? それに、若い女?
「あたし、オーナーと親しいから、ちょっと……そっちからも話を聞いたことあるんだけどさ。シズって、いろいろ複雑らしいよ」
 ふうっと大きく煙を吐き出すと、有理は頬に落ちてきた髪を耳に掛けた。ほんの少しだけ水を溜めた洗面ボールの上で軽くタバコを弾いて灰を落とす。灰色と黒の中間色のタバコの灰が水面を汚した。
「なんか、お母さんが自殺したとか、そんでお父さんと絶縁状態で家を出たとか。それであんまりその……よくない店で働いてたから、それを心配してオーナーが引っ張ってきたんだって。店での女関係もかなり派手だったらしいよ」
 今まで全くと言って知らなかった彼の過去を自分の友人に教えられるという状況に、どう応えてばいいのかわからない。知らなかったと、正直に言うべきなのか。知っていたと強がればいいのか。それでも彼女ならば、簡単にわたしの嘘を見破るだろう。
「対して美雪はその……あれじゃん。あたしと違って、今もそうだけど学生の頃から真面目だし。だからその……ちょっと難しい相手というか……。それでも美雪がいいってんなら、いいと思うんだけどさ」
 人間誰しもいろんな事情を抱えているとは思う。それに今の話も、別に有理やオーナーを信用しないというわけではないけれど、どこまでが本当でどこからが嘘なのもわからない。わたしといるときの彼は――確かに少し疑問を感じる部分もあるけれど、でもとても優しい人だから。
「ま、そういうことで。だからダメとか、やめといたほうがいいよ、じゃなくって。もしも知らなかったのなら、そういう事情がある人だって知っといたほうがいいかなあって。――お節介なのかもしれないけど、それだけね」
 曖昧に言葉を濁すのは多分、わたしに対する気遣いなのだろう。だから。
「教えてくれてありがと、有理」
 わたしに言える言葉はそれだけだった。

  -つづく-
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