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2006年05月03日 (水)
「きゃあっ……」
「おっと、それは勘弁して」
痴漢と叫ぼうとした口を彼は片手で簡単に押さえた。あたしの顔を覗き込み、そして気障ったらしく左眼を瞑って笑って見せる。
相変わらず、一瞬見とれるくらいにユーキさんそっくりだけど、でもどこか違う。この人は、目の奥に冷たいものがあるような気がする。笑ってるときでも、本当は笑ってないような感じがする。
怖い人なのはもう知ってるから、だからあたしが勝手にそう思い込んでるだけなのかもしれないけど。
「おとなしくしてくれれば、怖いことしないから。ね?」
言いながら強く抱き寄せてきた。その言葉なんて何一つ信用できないけど、でも徐々に強まってくる力に、あたしは仕方なく頷いた。
ここで騒いでもこの人はすぐに逃げちゃうだろうとは思うけど、でももし警察沙汰とかになったらまずいのはあたしも一緒。この人はともかく、ユーキさんに迷惑がかかっちゃう。
「よしよし、嘘ついたらダメだよ」
そういうの、俺は許さないからね?
耳元で囁く、優しい声が怖い。目で肯定を伝えながら細かく何度も頷くと、口を押さえていた手が離れた。顔をそむけて大きく息を吸い、呼吸を整える。
「あ、あの。こっちの手も放してください」
「んー? どうしよっかなー」
楽しそうな言葉と一緒に、腰に回した腕の力が強まる。思わず「ぐえ」と変な声が出たあたしをまじまじと見て、そして彼は弾けるように笑い出した。
「千紗ちゃんってホントおもしろいなー。可愛い」
「放してったら!」
-つづく-
「おっと、それは勘弁して」
痴漢と叫ぼうとした口を彼は片手で簡単に押さえた。あたしの顔を覗き込み、そして気障ったらしく左眼を瞑って笑って見せる。
相変わらず、一瞬見とれるくらいにユーキさんそっくりだけど、でもどこか違う。この人は、目の奥に冷たいものがあるような気がする。笑ってるときでも、本当は笑ってないような感じがする。
怖い人なのはもう知ってるから、だからあたしが勝手にそう思い込んでるだけなのかもしれないけど。
「おとなしくしてくれれば、怖いことしないから。ね?」
言いながら強く抱き寄せてきた。その言葉なんて何一つ信用できないけど、でも徐々に強まってくる力に、あたしは仕方なく頷いた。
ここで騒いでもこの人はすぐに逃げちゃうだろうとは思うけど、でももし警察沙汰とかになったらまずいのはあたしも一緒。この人はともかく、ユーキさんに迷惑がかかっちゃう。
「よしよし、嘘ついたらダメだよ」
そういうの、俺は許さないからね?
耳元で囁く、優しい声が怖い。目で肯定を伝えながら細かく何度も頷くと、口を押さえていた手が離れた。顔をそむけて大きく息を吸い、呼吸を整える。
「あ、あの。こっちの手も放してください」
「んー? どうしよっかなー」
楽しそうな言葉と一緒に、腰に回した腕の力が強まる。思わず「ぐえ」と変な声が出たあたしをまじまじと見て、そして彼は弾けるように笑い出した。
「千紗ちゃんってホントおもしろいなー。可愛い」
「放してったら!」
-つづく-
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