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2006年04月14日 (金)
昨晩のうちに連絡はしてあったらしく、チャイムが鳴り終わるよりも先にママは玄関ドアを開けた。一回だけママはあたしのほっぺたを叩いて、そして抱きしめてくれた。心配したんだからねと半泣きの声で怒られて、あたしはただごめんなさいと言うだけだった。ユーキさんはママが何かを言うたびに、申し訳ありませんでしたと繰り返して、そして何度も何度も頭を下げていた。
最後には怒り疲れたママがユーキさんに根負けして、今回だけと渋々頷いた。でも他のことをちゃんとしないうちは、二度と千紗に近寄ることは許さないからと、きつい口調で言った。多分、婚約者がいることとか、それをあたしに黙っていたこととかを言ってたんだと思う。ユーキさんは神妙な顔でママの言葉に頷いて、そして頭を下げながら帰って行った。
「バカだなあ」
涙でぼやけた視界を遠ざかって行く一台の車を、あたしはじっと見送った。遠く遠く、豆粒くらいにまで小さくなって、周囲に混ざってどれだかわからなくなっても、それでもまだ見送った。
「ホントに、バカだなあ……」
ユーキさんは、あたしがユーキさんを好きかどうかもわかってないんだ。あたしだってユーキさんじゃなきゃイヤなの、わかんないんだ。好きだって何回も言ったのに。キスだって、えっちだってしたのに。一緒に眠ったのに。それでもわかんないのかな。男の人ってそういうもんなのかな。
「ユーキさんの、ばか」
あんなバカな人だと思わなかったけど、でも。
「待ってるよ。ずっとずーっと待ってる。待ってるから」
早く、迎えにきて。おばあちゃんになっちゃう前に。
-つづく-
最後には怒り疲れたママがユーキさんに根負けして、今回だけと渋々頷いた。でも他のことをちゃんとしないうちは、二度と千紗に近寄ることは許さないからと、きつい口調で言った。多分、婚約者がいることとか、それをあたしに黙っていたこととかを言ってたんだと思う。ユーキさんは神妙な顔でママの言葉に頷いて、そして頭を下げながら帰って行った。
「バカだなあ」
涙でぼやけた視界を遠ざかって行く一台の車を、あたしはじっと見送った。遠く遠く、豆粒くらいにまで小さくなって、周囲に混ざってどれだかわからなくなっても、それでもまだ見送った。
「ホントに、バカだなあ……」
ユーキさんは、あたしがユーキさんを好きかどうかもわかってないんだ。あたしだってユーキさんじゃなきゃイヤなの、わかんないんだ。好きだって何回も言ったのに。キスだって、えっちだってしたのに。一緒に眠ったのに。それでもわかんないのかな。男の人ってそういうもんなのかな。
「ユーキさんの、ばか」
あんなバカな人だと思わなかったけど、でも。
「待ってるよ。ずっとずーっと待ってる。待ってるから」
早く、迎えにきて。おばあちゃんになっちゃう前に。
-つづく-
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